私の履歴書・・・考える日々。
母さんが危惧したように、文学に深く触れる日々は、平
常の勉強がおろそかになることは、やむを得ないことの
ように思います。ですが、東大へ現役で入れるような友
人は本も読み。勉強は授業で完成していました。
集中力が違うのだと思います。私は、集中力が全くない
人間でした。身の回りのすべてに関心があるのです。朝、
家を出て。小田急線に乗ってさえ周りを見渡しています。
周りどころか、箱根からやって来た急行の屋根を見ます。
ああ、箱根では少し雪が降っていたんやな。そやから、5
分遅れか。これなら経堂からやってくるのんきな奴は、ま
た遅刻やで。それにしても「梶井基次郎」さんは、どうし
てあんなに人に優しい文章が書けるのやろう。
父に「梶井基次郎」って言う人を知ってるか、と、訊ねたこ
とがありました。「誰に聞いてるんや」という表情で、自分
も好きやったといいはりました。ああいう優しい精神で、
新聞も発行せなあかん!とまで言われ嬉しくなりました。

