私の履歴書・・・声の録音

父は東大新聞研究所で講演をしておりましたが、講演の
後に小さなリール式のテープレコーダーにもう一度しゃ
べって反省をしておりました。2月に、ついに声を失う
手術をすることになり、声を録音することになりました。

覚えている限りのあらましをお伝えします。
「私は、浦上五六=いつむ。明治42年11月24日生
れ。もうすぐ57歳になります。このたび、喉の病気を
得まして、声帯を切ることになりました。

声がのうなるそうです。寂しいことですが、撒いた種で
す。そこで、57年間、この声で怒りもし、悲しみもし、
励ましもし、笑いもしてきたこの声を録音して、おお、
浦上はこういう声じゃったなー。こういう声じゃった。

なつかしいのう。寂しいのう。皆さんが、そう言われる
ための助けに録音いたします。私は、やがて死んで、ふ
るさと岡山の足守のお墓に入ります。代々の足守藩主の
菩提寺、大光寺にお墓は作ってあります。【続く】」

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